お〜い「お茶」で有名な上場会社が「議決権がない代わりに配当を優先的に支払う「無議決権優先株」を発行しました。いわゆる、「種類株式」の発行です。9月上旬には東京証券取引所に上場することが決定しました。これは、画期的なことで、資本市場から資金が調達しやすくなる一方、投資家にとっても種類株式の売買がこれまでよりも容易になるとみられ、資金運用の選択脚が広がることが十分に予想されます。
 もっとも、東証では、過去には、旧さくら銀行の優先株や、ソニーが発行したトラッキングストック(子会社の業績・配当に株価が連動するように設計した株式)など種類株式を上場したことがあります。ただいずれも特例で、現在は種類株式を上場していません。
(1)欧米における種類株式の状況
 欧米の多くの取引所においては、種類株式が上場しています。独フォルクスワーゲンやスイスの製薬会社ロシュは無議決権優先株を、米グーグルは議決権を経営幹部の保有する株式の十分の一に抑えた種別株式を上場しています。

(2)中小企業と種類株式の活用
 そもそも種類株式を理解するには、普通株式の理解が前提になります。そこで、復習の意味で少し触れたいと思います。
 普通株式とは、一株ごとに一つの権利、すなわち議決権とか配当金をもらう権利とかを、すべて平等に持っている株式のことです。一方、種類株式とは、その株式の種類や持っている人の地位や立場などによって、大きな権利や特別な権利を持っていたり、あるいは逆に権利が制限されていたりする株式のことです。例えば、ある人には一株につき100個の議決権、ある特定の株式一株には1000個の議決権を付与する等。
 中小企業が抱えている問題は、資金調達、人材確保、後継者問題、持ち株比率、さらには株主の相続など、千差万別です。これら課題に対し、万能ではありませんが、種類株式を縦横無尽に活用することによって、ある程度、会社のニーズに合った解決方法が見つかるのではないかと期待しています。