2008年9月のリーマン・ショック以降、日本経済は急ブレーキのかかった状態のまま09年に突入。さらに1月、2月と過ぎたにもかかわらず、一向に急ブレーキは緩む兆しを見せない。業界の中でも製造業(工作機械、産業機械、建設機械、自動車関連など)は、各企業の売上高が前年同月の50%減、60%減というのは当たり前で、もっとひどい企業は80%減、90%減というところもあるから恐ろしい。
特に、3月に入り、製造業はもちろん、卸売業でも中小企業緊急雇用安定助成金をもらって、一時休業する企業が非常に増えてきた。ただし、この休業を利用して何をするか?何をさせるかが重要である。
ある高収益企業では、すでに2月から月に4日、休みを増やした。その休みを利用して忙しい時に着手できなかったことをレベルアップさせようとしている。具体的には、多能工化の推進や技術力の伝承、営業力・提案力の強化などである。
また、別の企業ではこの期間に、忙しい時期にレベルが落ちた自社の当たり前基準(その企業の社員ならできて当たり前の基本動作など)の見直しを最重点課題に挙げて取り組んでいる。それぞれ、次のチャンスに向けた準備をしっかりと行っているのだ。単に、「仕事がないから休みにします」ではなく、各個人にしっかりと自己啓発や能力アップのテーマを与えて休みに入らせる。つまり、教育することが重要である。
さらに厳しい状況もチャンスと考えて、または次のチャンスに向けた準備期間として、「新」のつく行動(新商品、新分野開拓、新事業、新エリア進出など)を強化している企業も多い。この「新」のつく行動は、継続してこそ成果が出る。粘り強く続けていただきたい。
進化はいつも、行き詰まった時、追い込まれた時に起こるものだ。今は「100年に一度」の大不況期。ここで変わらなければ一生変われない。追い詰められた時に弱音を吐くか、知恵を出すかでその人(企業)の実力が見えてくる。知恵を出して、乗り切っていただきたい。
提供:ミロク.TVS記事より(株式会社タナベ経営)