妊娠・出産は健保不適用
妊娠・出産は病気とみなされないため、定期検診や出産費用には健康保険の適用がありません。全額自費での支払いになります。ただし、異常出産のときは、保険適用になります。
保険不適用の見返りとして、健康保険・国民健康保険などの被保険者が出産をしたときは、1児ごとに35万円が、出産育児一時金として支給されます。双子のときは2人分支給されます。
税法では医療費控除の対象だが
保険の適用がなくても、妊娠検診は単なる健康診断ではないし、出産費用は美容整形的医療費ではないので、税法上の医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除額の計算上保険金による補填額は除くこととされていますので、妊娠出産費用に対する税制の恩典は薄いといえます。
健保と税制の衝突
ところで、健康保険、国民健康保険からの保険給付はすべて非課税とされています。非課税収入であるにもかかわらず、税額計算とは無関係ということではなく、出産一時金は医療費控除の額を減算する役割をもたされています。ここが、健保と税金の法律の規定が衝突しているところです。
衝突しないものもある
出産にかかわる健保の給付には出産手当金というのもあります。これは、出産に伴うものではありますが、出産費用の補填のために給付されるものではなく、産休中は給料が出ない会社がほとんどなので、その間の生活を支えるために健康保険から支給されるものです。それで、医療費控除額からは減算しません。従って、完全な意味で非課税収入といえます。
なお最近、支給対象者に変更があり、退職後6ヶ月以内に出産した人にも支給されていたものが、出産後も会社に在籍し仕事を続ける人にのみ支給される給付となりました。