積立金だから長期前払費用か
マンション管理組合に支払う修繕積立金は将来の大規模修繕に備えた積立金で、毎月管理費と一緒に支払います。
マンションが貸付用の場合、名前が積立金とありますし、修繕費用の発生が将来のことなので、一見必要経費にならないのではないかと思われますが、管理組合への債務確定年分に必要経費に算入してよいことになっています。前払費用などとしなくてもよいということです。
中古マンション購入時の滞納積立金
ここで一つ気をつけなくてはならないのは、中古マンションを購入した場合の、売主が修繕積立金を滞納していたときの取扱いについてです。
建物区分所有法の8条によると、その中古マンションの買主にも滞納管理費・修繕積立金の負担義務が生ずることになっています。もちろん、管理費等を滞納した張本人は、本来の債務者として支払義務がありますが、中古マンションの買主にも支払い義務が法的に継承されるのです。
競売でも貫徹する承継義務
この区分所有法8条の効力は競売の場合にも有効です。担保されていた一般債権は競売により消滅するのが普通ですが、滞納管理費・修繕積立金については、競売により落札した新しい所有者にも引き続き責
任を負わせます。
時効には勝てぬ承継義務
時効について、平成16年4月23日の最高裁判決はマンション管理組合が組合員である区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費としての債権を5年間の短期消滅時効に該当するとしましたので、時効は有効ですが、それでも長期にわたる未払いがあるときは最低でも5年分につき責任が承継されます。
承継義務で支払う滞納金の経費性は?
さて、中古マンション取得時に支払う滞納の管理費・修繕積立金の必要経費性についてですが、金額が多額のケースが多く、これはそのまま経費算入というわけにはいきません。滞納額分だけ本体価額が安くなっているはずですから、取得価額を構成するとするのが順当な判断です。
(コラム通信より)