離婚率減少は年金分割を待っていたから?
 昨年は、テレビや週刊誌等で熟年離婚がたびたび取り上げられていました。その時話題になっていたのが離婚分割といわれる年金の分割、これを待っている妻が多いから離婚が減少しているのだ等と言っている場面もありました。

年金分割とは? 夫が会社員や公務員等で離婚した場合には、妻は老齢基礎年金しか受け取れず経済的に困る事態も多々あります。そこで、婚姻期間中に負担した厚生年金保険料は夫婦で支払ったものとみなし、離婚時に婚姻期間中の厚生年金を分割して支給するというものです。分割は婚姻期間中の標準報酬の記録を当事者の合意で按分割合を決め、原則として離婚から2年以内に請求します。分割されるのは厚生年金の報酬比例部分に限られ、基礎年金や厚生年金基金の上乗せ部分は対象となりません。

必ずしも2分の1分割というわけではない
 分割割合は夫婦で話し合い、割合の下限は妻(夫)の持分、上限は2人の標準報酬の2分の1の範囲内で決めることとなっています。合意がまとまらない時は裁判所が割合を決定します。決定された後は内容を公正証書にして社会保険庁に請求します。



離婚する前に考えたい事 離婚後にいったいいくら受け取れるのか事前に知りたい時は社会保険庁に請求すれば額を知らせてもらえます。離婚前なら請求者だけに情報は知らされることになっています。但し、妻は自分の年金受給権を満たしていないと受け取れません。
 離婚後の年金が増えると思い妻が調べてみたら案外少なかったということも考えられます。万一夫が先に亡くなった時は厚生年金の4分の3が遺族厚生年金として妻に支給されます。年金分割への安易な期待は得策とはいえないでしょう。