相続時に年金受給権として課税を受けた生命保険金について年金受給時に所得税を課すのは、同一の経済的価値に対する相続税と所得税との二重課税にあたるか否かについて争われた裁判の上告審で、最高裁は、7月6日、二審の福岡高裁判決を破棄するとともに、納税者側の主張を認める判決を言い渡した。

最高裁は、判決理由で「年金の各支給額のうち、将来支払われる年金額の現在価値に相当する部分は、相続税の課税対象となる経済的価値と同一である」とし、課税当局が長年行ってきた、相続で取得した年金受給権と実際に支払を受けた年金とは別のものとする課税実務を否定する厳しい判決を下した。

この最高裁判決で取扱いが変更されることになるため、納めすぎとなった所得税は更正の手続きにより還付されることになる。この問題について、7月7日、財務大臣が5年を超える部分の救済についても検討すると発言したことを受け、国税庁では、判決に基づいて課税の対象とならない部分の算定方法など、対応方法について検討を行っていると発表した。

提供:税務研究会・税研情報センター

TVSトータル・バリューサービス 税金ワンポイントより