全く新しい携帯情報端末「iPad」が話題をさらっている。一見すると読書や動画閲覧など、個人向きかと思われがちだが、ビジネス利用への期待も高まっている。中小企業でも、社員に持たせることで業務の円滑化を助ける存在になり得るのだ。

 たとえば、新しいサーバーを準備して新たな顧客管理システムをつくり、営業担当にiPadを持たせて出先から受注情報を入力させる――法人向けのiPadビジネスソリューションを提供する会社と連携すれば、こうした活用も夢ではない。

 このように、iPadをきっかけに、社内の情報システム全体を刷新するなら、「中小企業基盤強化税制」が使える。同税制は、セキュリティーが確保された、特に企業の競争力強化に貢献するIT設備の導入を支援するものだ。対象の設備に年間合計で70万円以上かけると、取得価額の7%の税額控除または30%の特別償却のどちらかが受けられる(適用期限=平成23年3月31日)。

 もちろんこの場合、「税制の対象となるのはiPadではなく、コアとなる新たな情報設備部分」(経産省)。

 具体的には、大きく分けて「基本システム」と「データベース管理ソフトウェア」がある。

 基本システムは、(1)サーバ用のオペレーティングシステム(OS)(2)(1)がインストールされたサーバ(3)仮想化ソフトウェア(一つのサーバで複数のOSを動かせるようになるソフト。サーバの有効活用を促す)――が含まれる。

 データベース管理ソフトウェアは、(1)データベース管理ソフト(2)(1)機能を利用するソフト(財務会計、顧客管理、人事管理など、ある特定の機能・業務に特化したソフトウェア)(3)連携ソフト(4)(1)〜(3)と同時に取得されるファイアウォール(5)(1)〜(3)と同時に取得される侵入検知システム、侵入予防システム、ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール(WAF)――を対象とする。

 iPadの購入だけについてみれば、単に「パソコンを買った」という場合と同じで税優遇のある話ではないが、端末をiPadにした全く新しい社内システムの構築には同税制発案者の経産省も期待するところ。iPadの可能性に注目したい。

                   税務会計情報ねっ島TabisLand 日替り税ニュースより