ここ数年、上場・中堅企業から中小企業までの課長クラス・係長の研修を行う中で、強く感じることがある。それは管理職が「勉強不足」だということだ。
もちろん、自己啓発のために年間100冊の読書を7年間継続している課長もいたし、中には年間300冊の読書をノルマに掲げ、強烈に自己啓発へ取り組んでいる兵(つわもの)もいた。しかし、全体的にはテーマを持って勉強をしない、あるいは、自己啓発をしていない人がほとんどだった(年間1冊の本さえ読まない人もいたほどである)。
「ビジネスマンの生活時間」調査(2010年12月、シチズンホールディングス)によると、ビジネスマンが1週間に「自己啓発(資格取得・語学など)」に充てた時間はわずか2時間34分で、10年前と比べて1時間18分も少なくなっている。
実際には、「勉強している人間」と「そうでない人間」とで、かなり二極化しているのだろう。では、なぜ企業の管理職が勉強をしなくなったのか?筆者はその原因を、「危機感の欠如」だとみている。
常に勉強している人間は、知識を得ると、「知らないこと」「知らないといけないこと」が次から次へと出てきて、その危機感からさらに勉強をする。全く勉強をしない人は、そうした危機感を抱くことができず、知らず知らずのうちに知識の栄養失調を起こすのである(まわりの上司や部下は分かっているケースが多いのだが・・・)。
インターネットで知りたい情報をすぐに得られる今、「知識」自体にはあまり価値がないように見える。しかし、「決断・判断」や「知恵・工夫」は知識がないと出てこないから、やはり価値はあるのだ。したがって、知識のインプットは、最低限やるべきである。
また、20〜30代で自己啓発に取り組む習慣を身に付けなければ、よほどのことがない限り40〜50代で習慣化するはずがない。30代に取り組んだことで40代が決まり、40代で取り組んだことが50代を決めるのである。
ぜひ、今年、来年の習得テーマやレベルアップテーマを明確にし、そのために実施することを目標として書き出していただきたい。特に30代前後の人は、毎日・毎週・毎月といった単位で、自己啓発の内容を決め、習慣化するまで継続・徹底してほしい。
TVS-株式会社タナベ経営より