一番身近にあって再生利用ができ、有効な資源でもあるといえば、真っ先に思い浮かぶのがペットボトル。だがこれを回収さえすればリサイクルになると短絡的に考える傾向の人が案外多い。大事なポイントは、回収しても使われなければ再び元のゴミに戻るということ。回収しただけではリサイクルにならないのだ。「リサイクルで最も重要なことは使うことだ」。
このことを強調するのはペットボトルの再生処理事業者、ウツミリサイクルシステムズ(株)(大阪市)の内海正顕社長。この信念どおり、同社は最終製品まで一貫生産体制を敷く。この点が同社の最大の特徴だ。同業者には回収ボトルを薄片(フレーク)にしただけで販売する業者が多い。その中で「リサイクルで社会貢献するには一貫生産する必要がある」(同)との姿勢を貫く。
フレークを原料に卵やフルーツの容器などの最終製品にまで仕上げ、大手食品スーパー(SM)や生活協同組合、問屋に販売する。価格は純粋なバージン原料を使った容器に比べて10〜15%安いためSMなどからの需要が伸びている。また、同社のペットボトル再生分だけで、年間8万トンの原油の軽減にも貢献するという環境貢献企業でもある。この面からの認知度も上がってきている。
一方、同社の経営で注目されるのが全員に簿記の資格の取得を促していること。「社内のディスクロージャー」という理念に沿って、経営数字を公開しても数字の意味が理解できないのでは困るためだ。本社従業員には全員に簿記2級を取得させている。工場などの現場でも3級の取得を促す。取得のための講習会まで実施するという熱の入れようだ。
こうした背景から全従業員が、リサイクル事業にとって不可欠な原価計算ができるのも同社の大きな強み。「利益ある成長企業」という理念に則った成長を目指し、近年中にヘラクレス上場を狙う。今後さらに発展するためペットボトル以外のプラスチックリサイクルも模索中。こうした中小企業が元気になるのは環境面でも資源小国のわが国にとっても本当にうれしいことだ。
"税務会計情報ねっ島TabisLand"より